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【Arduino工作】ゲーミングノートクーラー作った。8℃冷えてパフォーマンスも1割向上

youtu.beyoutubeに動画上げました。

きっかけ

ゲーミングPCってきちんと冷却装置作らないと性能は下がるしキーボードは熱くなるし本体もさわれないくらい熱くなるしバッテリーまで少し暖かくなるので寿命が心配でクーラー作りました。

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12cmのファンを2つの構成で、高負荷時にはファンコンを操作してファン回転数を上げることでサーマルスロットリングを減らすことができます。低負荷時には低い回転数でファンノイズを減らすことができます。

DCファンとPWMタイプ

DCファンでPWMではないものはPWMタイプに比べて少し安いです。しかしDCファンのファンコントローラは、電源をPWM駆動ではなく直流の電圧で調整しなければなりません。手持ちの部品で何とかならないか考えて設計しました。

Arduinoってのは授業で使ってたあまりがあって、どうせ今後使わないのでこれをファンコンに使うことにしました。

ファンコントロール

DCファンをPWM変調すると、その周波数が可聴域であればその音が出るし、超音波でも変な音が出ます。また、周波数を低くしても回転に脈動ができてしまいます。今回のファンコントローラはリニアレギュレータの仕組みを応用してなるべくリニアな出力が得られるようにPWM出力をLPFで通してハイパワーなバイポーラトランジスタに入力して、電圧をソフトウェアでフィードバック制御するようにしました。

フィードバック制御とはいっても、目標値より高ければデューティ比を落とし、低ければ上げるという制御になります。これだけでだいぶ安定してファンが回るようになります。PWM周波数は30kHz付近を使いました。

リニアレギュレータの欠点としてバイポーラトランジスタがかなり発熱します(最大3W程度)。ファンの気流の一部をフィンに当てて空冷しています。DCDCコンバータであれば発熱によっては不要になります。

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ファンコントローラの回路図


Arduinoのスケッチの解説としては、スイッチを押すたびに電圧の目標を切り替えます。強は目標が12Vそのまま、中や弱は9Vや5Vくらいに設定します。本当はインダクタを使ってDCDCステップダウンにしてエネルギー効率を上げたかったのですが、手持ちの部品ではできませんでした。PWM品でなくてもPWM制御で十分かと思ってましたが、やっぱファン自体にもお金かけるものですね。でも2000rpmはだてではなく、確かな風量があり、最大にすると最大パフォーマンスを長く持続できるようになります。

エアフローと効率

あともう一つ、エアフローを考えることがかなり大事で、普通のファンって取り入れ口もきちんと考えないと正しくフローが作れないんですね。吸気口の渦巻き状の気流を妨げるような位置に障害物を置かない、ファンからなるべく離すことが大事みたいです。

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エアフローを考える。

また、PCとファンとに隙間ができると効率が低下します。きちんと密閉することが大事です。ソフトチューブなどを使って密閉するといいです。

結果

FF15ベンチFHD高品質では、PC内蔵のファン全開だけなら8270です。PC単体のみだとGPUはサーマルリミットの75℃付近でロックし、CPUもサーマルスロットが頻繁に発生、発生時はガタついてたのと(デフォルトのバカ高いCPUのパワーリミット下げれば直るが、、)GPUクロックも1割低下していました。

外部ファンを回すと状況は大幅に改善してCPUはピークでも90℃未満で終盤でも平均80℃、GPUは67℃で安定、両方とも熱による性能低下はありませんでした。スコアも8600付近もたたき出すことがあります。特にベンチマーク後半は、1割程度パフォーマンスが向上しています。

静音性

実際のところ精密な測定できないので分からないですが、iPhoneのアプリで人の耳の位置近くで雑にに測定した結果を貼っておきます。

まずはPC内蔵ファン。最低2500rpmで29dB、少し気になる

3540rpm,32dB、PCが頑張ってる感じの音、ヘッドホンすれば気にならない

5700rpm:42dB,かなりうるさい。ヘッドホンまで貫通する音。

作ったファンコンでコントロールしたファンは、

2000rpmの12V全開、43dB,PCのファン全開と同じレベルになりました。ヘッドホンまで貫通

中:34.5dB、音は結構する。大きくはない。

弱:28dB,かなり低くて小さい音、静かなところで聞いていてもよく聞かないとわからないレベル

環境音が26dBくらいです。まぁ、無反響の無音室でもないので体感程度に思ってください。

反省点と、注意点

  • PWM品以外はPWM制御できない。変に電源をPWM変調しないほうがいい。電圧制御をすること。
  • 静圧の強いファンが使いやすい。

(ブロアファンが理想的かも。通常のファンだと風量自体が多くても全然風が通らない。それでも静圧の高いものを選んだのだが)

  • PCの底面以外から漏れないように密閉
  • 取り込み側のエアフローも考える

作ってよかったこと

  • パフォーマンスゲインは1割以上
  • 最大で10℃くらい冷える
  • パソコン表面やバッテリーも冷える。夏場も乗り越えられそう。

 

補足、ちゃんと温度を測りました。どうやらマージンは10℃くらいみたいですが、パフォーマンスの低下が少なくなったし良しとしましょう。やっぱり風圧が足りないみたいです。PCの中を風があまり通らないです。

あと、やはりCPUとGPUを両方に高負荷かけるとファンを使ってもCPUのほうは2800MHz付近までクロックが落ちます。単体負荷ではそういうことはないです。冬でこの結果ですから、夏に向けて絶対あったほうがいいですねこれ。